「あまり夜更しすると明日しんどいよ?」



「うん、わかってるけど…」





掛けられる言葉がわからない。


顔を出すべきだと思って来たはいいものの、永菜の緊張感が直接伝わってくるようで…


支えになれる言葉がわからない。






「永菜」



と、ただ名前を呼んで。




髪をそっと撫でてやることが、安心感に繫がるのかはわからないけれど。




「手でも繋ぐ?」



返答のない永菜の手を取る。



永菜の手は小刻みに震えていて、氷のように冷たかった。


触れてようやく気がついた。





その手を温めるように握るが、止まる気配のない震えに思わずグッと堪えるものがある。



表に出さないだけだった。


本当はもっと苦しんでいた。






「…永菜」



「…なに、大丈夫だよ」




ようやく返答した永菜は、声を微かに震わせていた。