「まさか料理中にキッチンで足滑らせて捻ったとは……言えないよなぁ」



「芙羽ってばッ!!」



「それを一週間も放置して腫れ上がってきた…だなんてもっと言えないよなぁ」



「バカ!!バカバカバカ!!」



力のない手で凜が叩いてくるけれど、港の視線は包帯でぐるぐる巻きにされている右足首にあった。



「…芙羽が?」



右足首を指さして、首を傾げる港に首を振る。



「近所の病院」



「…ふぅん、何も言われなかった?」



看護師が包帯をそっと取っていくのをじっと見つめる港は、一瞬凜の顔を見上げて言った。