「おはよ」
目を開いた永菜は、強引に目尻を下げて笑ってみせた。
「痛み、どうかな」
「……大丈夫、引いた」
「そう、良かった。気分は?」
「…大丈夫」
「よし。じゃあ帰ろうか」
「…え?」
「家に戻ろう」
「このまま入院になるんじゃないの…?」
「…。その方がいい?」
「ううん、そんなことない… 」
「先生がもう帰っていいって」
「え?」
「永菜ちゃん、おうちで休んでおいで」
「でも…」
「期間は5日間、永菜と俺と先生の約束だ」
「…うん」
「それとも、病院にいた方が安心? 」
その問いに首を左右に振った永菜は、一瞬痛みに表情を歪ませた。
もちろん俺も松山も、それに気がついていた。
指摘しない以外にないと思ったけれど。
「今帰る支度するね」
「ありがと…」