「…残念だな」
ため息混じりに聞こえた松山の声が、室内に虚しく響いた。
検査によって判明した異変は、早急な治療を要するものだった。
「原因が分かって安心した」
病院へ来るという決断はもう少し早くても良かったのではないか…。
検査結果を見ると、そんな後悔は強くなる。
「永菜への説明、嫌になるな」
「ここ何週間かなんともなかった体だからな」
「一時退院のあとは手術、か…」
あまりに苦しい事実だけれど、避けて通るわけにもいかない。
溶け込んでいた2人の日常。
戻れない、あの日の風景。
想像もしていなかった予想外の展開に、未だ整理のつかない自分だって存在している。
「少し詳しく見ようか」
松山の手によって表示される検査結果の数値。
それと同時に画面に現れた、ぼんやりと映る影。
「ちょっと大きいな…」
優れているように思えた永菜の体内で、じんわりと進行していた病の影。