「痛み、少しずつ落ち着いてくるから」



軽い診察の後、すぐに打たれた点滴。


ベッドの傍に屈んだ松山が、囁くような声で永菜に話し掛ける。



僅かに頷いた永菜は、そっと目を閉じた。





「咲、隣の部屋へ」


「わかった」


「あ、いや。今じゃなくていい」


「え?」


「眠るまでは」



松山が視線を向けた先。


痛みに時々眉を寄せる永菜は、両腕で顔を覆うようにした。



「…あとで行くよ」


「おう」




『眠るまでは側にいてやれ』


言われなくても、言葉の先は想像できた。