「次、いつ来られるかわからないね…」
ポツリと呟いた永菜は、目が合うと誤魔化すようにクスリと笑った。
「いつでも来れるよ」
「…そうかな」
「少し歩いてみるか」
「…え?」
「ちょっと遠く」
「いいの?」
「永菜が満足するまで帰らない」
「ふふ…、朝になっちゃうね」
ふと手に取った永菜の左手。
少し温かく、柔らかい。
微かに握られたような気がして、ギュッと握り返してみる。
するとまたギュッと握られて、永菜は嬉しそうに笑っていた。
「咲の手、好き」
「そうか?」
「安心する」
『この時間がずっと続いたら』
きっと永菜はそう思っているに違いない。
俺が心のどこかで、そう思っているように。