「また同じ場所に来るとは思わなかったな」


昨日と全く同じ場所に車を停め、同じ場所から眺める景色。


海の色は変わらないが、空の色は違う。


空の色が水面に反射した海は、同じ場所でも全く異なる景色に思えた。


「本当に咲が連れてってくれるだなんて思わなかった」


「本当に行く気でいるとは思わなかった」


「ふふ、だって見たかったんだもん」







永菜が水面へ携帯電話を向け、シャッターを切る音が聞こえる。



「咲、ありがとう!」



不意に振り向いてそう言って、永菜は小走りに走り始めた。










「どこまで行くの?」






「少し遠く!」