翌日、咲は行き先を言わないまま車を走らせた。
「どこに行くの?」
「どこだと思う?」
「うーん…」
「もうすぐだ」
それから少しすると、車は止められた。
「…ここ?」
「そうだよ」
何の躊躇いもなく歩いていく咲の後を追い、お店の中へ。
「永菜に似合うのにしよう」
咲が連れてきてくれたのは、有名なアパレルショップだった。
「どれがいい?選んでいいよ」
「…いいの?」
「たまにはいいだろ?こんなのも」
咲はそう言ったけれど、ふと目に入った商品の値札に思わず咲の袖を掴んだ。
「ね、やっぱり高いよ…?」
「海に行くんだろ?」
「行くけど…」
「今日くらいねだったらどうだ?」
「……」
「可愛い永菜が見たいなー」
「…なにそれ!」
「いいよ、気にしなくて」
「……」