「ずっと考えてたの?ここへ行くって」
「うん、入院中から決めてたよ」
「そうか」
「でも、咲がいいって言ってくれるかわからないから迷ったの」
「俺はダメだって言いそうか?」
「遠いし、外だし、体崩すからダメって…言いそうかなって」
「あぁ、なるほどね」
「松山先生にそのこと相談したら、"夏じゃないし、それほど暑い訳でもないから大丈夫だよ"って」
「………」
「アドバイスもらったからここに決めたの」
「…。それで俺はなんて言った?」
「"いいよ、行こう"って」
「ふふ」
「快諾した」
「却下する理由がない」
「断られたらどうしようかと思った」
「永菜が行きたいと行ったら、国境を越えない限り行くと決めてた」
「ふふ、そうなんだ」
目的地へと向かう車の中で、そんなことを話す。
松山の言う、
「夏でないから」
という承諾理由には正直驚いた。
それは実際俺が考えたことで、行くことを決めた理由の一つでもあった。
「永菜、向こうについたら何をする?」
「どこかに腰を下ろして、しばらく眺めていたい」
「いいね」


