「来週、外泊の許可をもらった」


「…え?」


「家に帰れるよ」


「本当?…嘘?」


「本当」


「本当?」


「本当、そんな酷い嘘あるか?」


「びっくりした…、嬉しい!」


「覚えてないのが意外だったけどな」


「うん、結構本気で覚えてない」


「…マジ?」


「マジ!」


「…あぁ、永菜はあのときそれどころじゃなかったかもしれないな」


「本当に無意識だった」


「検討してくれたんだよ」


「そうなんだ」


「良かったな」


「本当に私が喜ぶことだったね」


「そうだろ?」




得意気な咲だけど、許可をしてくれたのは松山先生でしょ?


思わずそんなことを言いたくなる。





「あとでまた来るよ」


「…これだけ言いに来たの?」


「ごめんな、ちょっとバタバタしてて」


「ううん、わざわざ言いに来なくて良かったのに、って意味」




松山先生が診察に来れば、きっとそのことも教えてもらえたはずだけれど。




「早く永菜に教えたくて、気がついたらここにいたよ」


「…ありがとう」


「いいえ。詳しいことは直接聞いてよ」


「わかった、そうする」




そうして咲が颯爽と病室を出ていくと、無意識に緩む頬。


何をしようか考えるだけで、楽しみで仕方が無い。




「……」


と同時に、管を伝って見上げる点滴。


本当に外泊なんて出来るのだろうか。