何日かぶりに病室へ姿を見せた咲は、何やら嬉しそうな顔をしていた。
「何かいいことあったの〜?」
「どうして分かる?」
「分かるよ、顔に全部出てるもん」
いつものように椅子を寄せて座ると、思いっきり笑顔になった。
「…どうしたの?」
「永菜にいい報告がある」
「…何?」
「さぁ、なんだと思う?」
「…。休みがもらえた」
「あぁ、それは嬉しいな」
「違うの?」
「残念ながら」
「うーん…、お昼が咲の好きなのだった」
「…。小学生か?」
「ふふ、だっていつも喜んでるじゃない」
「そんなの永菜にいちいち報告しに来ないよ」
「それもそうだね」
「永菜にとって嬉しい報告だよ」
「私にとって?」
「そう、永菜が喜ぶこと」
…私が?
「…あぁ、ここまで期待させといて"そんなのかぁ"って言われたら困るな」
「…。言わないよ、多分」
「そうか?」
「もう降参、教えて!」
「永菜、この間松山先生になんて言った?」
「……私が?」
「何かお願いをしたんじゃないのか?」
「…そうだっけ?」
「ハハ、忘れたのか」
「うーん…」