頭痛が治まらないうちに、吐き気が強さを増してきたようだった。


洗面器を抱えているが、何も出ないまま時間だけが過ぎる。




「…やっぱり大丈夫かも」


「そうか…、そこに置いといていいよ」




眠れない夜ほど辛いものはない…。




「咲くん」


「ん?」


「いつ家に帰れると思う?」


「…そうだなぁ」


「こんな調子じゃ無理なのはわかってるんだけど、やっぱり楽しみが欲しいでしょ?」


「そうだね。先生に聞いてみたらいい」


「また教えてくれないよ、"もう少し"って言うだけで」


「大雑把な答えだな」


「そうでしょ?」


「永菜にガッカリさせない為だよ」


「うん、わかってるんだけど…」


「……。よし、俺からも聞いておこう」


「本当?」


「ま、期待するような答えは来ないかもしれないけどな」


「ふふ…、でしょ?」