「吐き気や頭痛、発熱なんかの症状も出ることがあるんです」


「そんなにあるんだ…。大丈夫かな…」


「少しでも異変があれば遠慮なく教えてください!」


「わかりました」


「先生もいつもより目を光らせているはずです」


「ふふ、落ち着かない」


「そうですね、ちょっと気が張るかも」






今日から体に入る新しいお薬。





治療が少しでもいい方向に向かうなら。


そんな小さな希望と、


副作用が出るかもしれない


そんな不安が入り混じる。




新しい薬を使う時はいつもこんな気持ちだ。


耐えるほか、ないけれど。





「ありがとうございます」


「いいえ」





点滴を刺し終わると、看護師さんが昼食を運んで来てくれた。


「点滴痛くない、いつも思います」


「本当ですか?」


「はい、失敗されたことないし」


「できるだけ負担を掛けないように頑張ってるので嬉しいです!」


「わぁ、努力の結果なんですね」


「んふふ、そんなに大したものじゃないですよ」


「いやいや、私なんか点滴慣れてても、やっぱり痛いの嫌だし…だから嬉しいんです」


「私もそんなことを言われたら嬉しい、これからも頑張りますね」


「お願いします!」




持ってきてもらった今日の食事は、私が好きな献立だ。


たったそれだけでもテンションは上がる。


入院生活の楽しみは少ない。