検査の前に食べさせてあげられたら…
そんな思いで教えてもらった店でプリンアラモードを買ってきたのだけど、朝食を見る限り無理がありそうだ。
病室に持ってきていたが、永菜には見せないでおこう。
額に冷えピタを貼ってやり、空になったコップを回収。
結局食事が進むことは無かった。
「永菜、吐き気する?」
「…ちょっとだけ。でも吐いてないよ」
「うん、そうか」
「…どうして?」
「いや、一瞬顔しかめたから」
「気持ち悪いっていうか、モヤモヤするだけ」
そう言って手のひらで胸元をさすった。
「検査の日にち、変えることできるからな」
「うん、でも早く終わらせたい」
永菜は笑うが、大分辛そうな表情だ。
「でも頑張るから…」
「偉いよ」
「咲からご褒美ある?」
「あぁ、じゃあ俺とハグ」
「なにそれ、いつでももらえるやつ…」
口元を軽く膨らませ、不満そうな顔。
「永菜が好きなものを買ってくる」
「本当に?」
「甘いのだってなんだって」
「わかった…、がんばる…」
「よし、頑張れ」
永菜の背中に手を回すと、熱い体温が伝わってきた。
これじゃ辛いはずだよ。