何となく予想していた通り、急患と病棟の往復で夜中を迎えた。
「売店ってまだやってるかな?」
お湯を注いだまま忘れていたカップ麺を解しつつ呟くと、背後で食事をしていた港が吹き出すように笑った。
「ちょっと難しいんじゃないですか?ほら、今3時だし」
「だよな〜」
「惜しかったかも」
「そうか、あと8時間くらい早ければ開いてたかもしれない」
「うーん、そうですね」
…。
2人で肩を震わせて笑い、寂しく夕食を啜る。
頭が回らないと、何でも面白い。
「美味しいケーキのお店とか知ってます?」
「……。あぁ、少しなら」
「この辺で…は厳しいか」
「いや、あったと思ったけど」
「本当?」
「見舞いに来る人が持ってるのをよく見る」
「あぁ、なるほど」
「何かのお祝い?」
「いや、おねだり」
「永菜さん?」
「そう、甘いの食べたいって」