「今日は食欲があって良かった」


「…別に毎日来なくてもいいよ?」


「来られるのが嫌か」


「ううん…」


「ならいいよな。それにほら、永菜がどんなか見にこないと」


「何それ…」


「寂しくて泣いてるかも」


「子どもじゃないから!…寂しいのは咲の方でしょ?」


「ははッ、そうだ」




"もー、なにそれ"



呆れつつも楽しそうに笑う永菜の笑顔。


永菜の笑う顔を見るのが、もはやお決まり。


様子を見に来ているのか、こっちが癒されに来ているのか…。




「あのね」


「うん」


「明日血液検査するの」


「お?あぁ、永菜がちょっと苦手なやつ」


「そう、一番嫌いな検査」


「緊張してるせいでなかなか終わらないもんな」


「そうだよ!それでいっつも"リラックスしてください〜"って言われるの」


「ハハ、そんなこと言われてんのかよ」


「あの検査、恐怖でしかない」




何度も検査をしていても、嫌いなものは嫌い。


怖いものは怖い。


永菜が前に言っていた。


入院生活に慣れていても、毎日不安だらけだと。