「季蛍も一緒に食べよ、朝ごはん。食べてないよね?」
「はい、でも…」
食べなくても大丈夫です…
なんて、軽率に言える訳がない。
「"でも"なんだよ」
高島先生のお誘いを断れるはずもなく、朝食のおすそ分けをもらった。
「何でもないです…」
「はは…、別に無理しろとは言ってない」
「そうですけど…、」
と言いかけて蒼に視線を移すと、ばっちり目が合ってしまった。
「仕事量と食事の量が合ってないよね、季蛍は」
「…それで大丈夫なんだもん」
奏太くんにも同じようなことを言われた気がする。
「…。おいしい」
「ふふ…、絶対思ってないだろ」
「思ってますよ?おいしいな…」
蒼の呆れたような笑いも、高島先生の失笑も、目に入ったけれど。
いいもんね、食べたから。