今朝高島に用があって連絡をしたら、酷く掠れた声で謝られた。
「僕が持ってます…」
持って帰った書類を病院に届けると言い出すから、『休んでろ』と念押しをして午後に取りに行く約束をした。
仕事が終わってから連絡を入れたが、電話もメールも返事なし。
寝ているのだろうと検討がついたので、迷わず自宅へ来たのだ。
昼間一度だけ所用で連絡をしたときには、
『熱が下がったから大丈夫』
だと言っていたのに…。
どこが"大丈夫"なんだと、扉を覗いて思わず苦笑した。
マスクに冷えピタの寝巻き姿は、完全に病人だ。
無意識に溜め息を漏らすと、ただならぬ雰囲気を悟ったのか、『すいません…』と謝る声が。
「"熱が下がった"はさすがに嘘だな」
「…はい」
「意味のない嘘をつくな」
「一晩寝たら大丈夫だと思います」
「それは想定だろうが」
「はい…すいません」
「…はは、なんだよ」
熱でぼーっとしているのか、返答があやふやだ。
「こんなときに押しかけて悪いな」
「いえ…、取りに来てもらえただけよかったです」
「……」
「……」
「…で、貰っていい?」
「…あっ」
玄関を開けて満足したのか、本来のものを忘れていたらしい。
測らなくても高熱だよ。
「今持ってきます」