「季蛍はお昼食べたの?」


「いや、食べてないよ」


「何か食べる?」


「ううん、大丈夫」


「…季蛍こそ蒼くんに言ったらいいのに」


「な…。言うことなんてないから」


「"食事取れない"って」


「………。取れてない訳じゃないから」


「本当?」


「…本当」


「目が泳いでる」


「もー、私の話はいいの!」


「…ふふ。

季蛍だって私と変わらないでしょ?」


「ん、ふふ…そうかも」




愛香の表情が緩むと、少しホッとする。



「季蛍といると楽しい」


「本当?それ嬉しい」


「気張ってなくていいから疲れない」


「んふ、ならもっと呼んでよ」


「家に?」


「じょーだん!」


「私は嬉しいけど」


「ほんとにー?」


「季蛍は忙しいでしょ?時間作るの大変なの知ってる」


「来れる時は来れるって!…愛香の体調だって心配だし」


「……」


「ホントに無理しないでよ…?」


「それもう3回目」


「だってすぐに無茶するから」


「本当に平気だから。余計な心配掛けたりするのが今は怖いの」


「…わかった。じゃあ定期的に連絡して!」


「彼氏かよ…」


「いいじゃん!ね?」


「…うん、覚えてたらね」