「これじゃあ意味が無いだろ」


薬のシートから錠剤を外しては口の中へ入れているが、ほとんど溶ける前に吐き出している。


「あのなぁ…。ちょっと落ち着けって」


手を掴んで止めれば、肩で大きく呼吸を続けてシーツに涙を落とした。


「そうやって何度も口に入れたら過剰摂取と変わらないだろ」


「……」


「愛香」








「…ッ、奏太にはわかんないよ…ッ」







唇をぎゅっと噛み締めると、毛布の中に入ってしまった。



放置されたビニール袋を手に、とりあえず寝室を出る。




訳が分からないのは俺の方だよ…。







無意識に深いため息を吐きながらビニール袋の中を確認すると、服用していた薬と診察券や保険証が入れられていた。




処方箋を見れば、愛香が何を理由に病院へ行ったのか大体の予測はできる。





そういう意味だったのか…。


全てを悟った時、慌ただしい音と共に寝室の扉が開いた。