今の時刻を確認し、携帯電話に届いているメッセージを確かめる。
愛香からの連絡はない。
夕飯の有無を問うメッセージが入っていると思っていたが、どうやら届いていないみたいだ。
毎日必ず夕飯の有無を伝えている訳ではないが、今はその方が妥当かもしれない。
「奏太先生、どうかしたんですか?」
「え?」
「いや、顔怖いから」
「悪い、ちょっと考え事」
「早く帰った方がいいですよ、雨降りそうなんで」
「ありがとう」
「お疲れ様です」
「お疲れ様」
荷物を抱えて窓の外を見ると、聞いた通り怪しい雲が広がっている。
雨が降り出す前に帰ろう。