「異変?」
俺の問いに眉を寄せた奏太は、少し間を置いて首を傾げた。
「別に」
「…そうか」
"そう言えば"
とでも返ってくるかと思ったが、考えてみれば至って想定内の返事だ。
「愛香がどうかした?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど」
あまり他人の事情に首を突っ込むのはよくないが、今日のことがあったので聞いておきたかった。
それらしいことを奏太が把握していたら、きっとこれ以上気にかけることもなかったと思う。
「じゃあ、当直だから戻るわ」
「あぁ、お疲れ」
「お疲れー」
奏太と別れて向かう先は、病院の駐車場。
外は少し肌寒くなっていた。
あまり突っ込むと、奏太に『他人にまでも過保護だ』と言われ兼ねない…