"眠る恐怖"
なんてものは、俺にはわからない。
家でなくても、ベッドに飛び込めば気絶するように眠ってしまう。
"眠れない、眠りたくない"
そんな陽の気持ちに寄り添っているつもりでも、わかっているかと聞かれれば…
頷けないかもしれない。
助手席で重たい瞼を必死に開く陽は、時々窓にコテンと額をぶつけていた。
「陽…、寝ちゃっていいよ」
「…だいじょぶ、眠くない」
…そんなはずはないだろう。
「着いたら起こすから」
「…いい」
少しでも眠れる環境であるなら、例え仮眠程度でも目を閉じていてほしいと思う。
それは昼間1人で結の面倒を見る陽のため。
実際今日の怪我には、睡眠不足が大きく関わっている。
この先も不眠が続けば、小さな怪我では済まないようなことも考えられる。
陽のことを思うからこそ、心のどこかで
薬を飲んでほしい
そう思う自分もいる。


