「頭痛は?」
「大丈夫」
「腫れはないから様子を見よう」
「わかった」
「…これは病院に行った方がいいけど」
若干腫れた手首に手のひらを滑らせると、陽は顔を歪めた。
季蛍さんの応急処置があって嫌な腫れは見られないが、放っておくのは危険。
「痛みは?」
「今は大丈夫、さっき薬をもらったの」
「今夜は我慢できそうか?」
「大丈夫だよ、一晩くらい」
結を抱えたり手を繋いだりする大事な陽の手の怪我。
嫌な腫れ方をしていたら病院に駆け込もうと思っていたが、明日の朝でも大丈夫そうだ。
「帰る支度手伝うから」
「ありがとう」