部屋の電気をつけると、毛布にくるまっている陽の姿がはっきりと見えた。
目が合うと、陽はハッとした表情をする。
「体起こせる?」
「…起こせる」
上半身を起こそうとした陽が床に手をつくと、小さく悲鳴を上げて引っ込めた。
表情が歪み、顔に痛みの強さが現れる。
陽の側に腰を下ろすと、光の眩しさからか瞬きを繰り返した。
指先で軽く顎を持ち上げると、その視線は焦点が合わない。
「…陽?」
名前を呼べばすぐに目が合うが、そのままそっと瞼を閉じてしまった。
両手で頭を包んで手のひらを滑らせるが、目立った外傷や腫れはない。
人差し指で前髪を分けると、額に現れた痣が覗いた。
「陽、目開けて?」
ゆっくり開いた目を見ると、今度はしっかり視線が合った。
「ちょっと目眩」
陽はそう呟き、前髪を指で軽く梳かして痣を隠した。
その額には、汗が滲んでいる。