洗面所から戻ってきた港くんは、タオルで丁寧に手の水気を拭き取った。
「様子を見てくるね」
「何かいるものがあったら言ってください」
「ありがとう」
ワイシャツの袖を軽く捲り上げた港くんは、陽さんのいる部屋の扉を開けて中に入って行った。
「…港は?」
「陽さん見に行った」
「そうか。もう安心だな」
「そうだね、よかった」
「何かないといいけどな…」
「…頭?結構強く打ってたみたいなんだよね」
「1番そこが心配だな」
「額も打っててどこが痛いのかわからないって。さっき聞いたけどそう言われたの」
「…。あとは港に任せよう」