港くんの帰宅を待っていると、部屋から陽さんが顔を覗かせた。
「季蛍ちゃん…」
急いで駆け寄ると、涙目の陽さんが小さな声で呟いた。
「痛み止めって…」
「痛みますか?」
「ちょっと我慢が出来なくて…」
「わかりました、今持ってきます」
「ごめんね…」
部屋の中へ戻った陽さんを見ていた蒼も、渋い顔をする。
「もしかして頭か?」
「手かな…、今押さえてた」
キッチンから水と薬を持って来て、陽さんのいる部屋へ。
「痛み止めです」
「ありがとう…ッ」
表情をつらそうに歪めた陽さんの隣に腰を下ろすと、無理に口角を上げて見せた。
「ちなみにどこが痛みますか?」
「捻ったところ…、頭も痛いけど痣だからしょうがないよね」
「ちょっと髪を…、いいですか?」
「うん」
陽さんの前髪をそっと手で分けると、痛々しい青痣が覗いた。
「痛みがひどければ冷やしてもいいかも…」
「…季蛍ちゃんに負担かけてばかりでごめんね」
「そんなことないですよ。…とりあえず先に痛み止めを」
「ありがとう」


