幸い大きな怪我はなく、意識のあった陽さんは自力で階段を降りた。
救急車や病院を勧めたが、絶対に行かないと首を振る陽さんをそのまま返すことは出来ず、今に至る。
帰宅してから少し体を見せてもらったものの、出血箇所はあまり見られなかった。
気になるのは、頭を強く打っていたこと。
額に痣があること。
手首を捻って痛みがあること。
事情を知っているからこそ、無理に病院へ行くことはできない。
「港に連絡ついた。今こっち向かってるって」
「よかった…」
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