「陽さん、良ければこれを…」
リビングに戻った陽の元へ駆け寄った季蛍さんは、小さな紙袋を差し出した。
「季蛍ちゃん…っ、さっき断ったのに」
「少しでも役に立てたらなって思うんです」
「…でも」
受け取りを躊躇う陽は、一度こっちに目を向けた。
「この前も結の洋服貰ったよね…」
「でも、季蛍さんが陽に渡したいって言ってくれてるよ」
「季蛍ちゃん、本当にいいの?」
「はい、陽さんにぜひ飲んでほしいんです」
「…ありがとう、今度必ずお礼するね」
紙袋を受け取った陽は、中身を見てハッと嬉しそうに笑った。
「これって…、ハーブティー?」
陽が悪阻で苦しんでいた時、ハーブティーを勧めてくれたのも季蛍さん。
陽が睡眠で悩んでいることを知って、少しでも癒しになればと選んでくれたのだと思う。
「いいの?本当に嬉しい」
「そう言ってもらえてよかった…」
「今夜飲むね」
「はい、よければ今度味の感想聞かせてください」
「もちろん!そのときにお礼させて!」
「ふふ、お構いなく」
隠しきれない微笑みを浮かべながら、陽はキッチンへと消えていく。
「季蛍さんありがとうね」
「あんなに喜んでもらえて嬉しいです」
「季蛍さんといると陽はずっと笑顔だよ」
「ふふ、そうですか?」
戻ってきた陽の表情はやっぱり緩んでいて、幸せそうだ。


