「あ…、薬か?」
「…あぁ、前のね。今は飲んでないよ」
「そうか…」
昨日の夜も『眠りたくない』とリビングにいた陽に差し出した薬。
もちろん『飲まない』と断られたけれど。
「眠れないんじゃないんだよ…、眠りたくないって」
「ベッドに入っちゃえば眠れるのか?」
「大体はね。でも、目を閉じてすぐに震えて起きることもある」
「…そうなんだ」
「…俺は何もできない」
薬を棚の中に片付けながら、そんな情けない言葉が漏れる。
「蒼といると弱音が出る」
"ごめん"
自分でも笑ってしまうくらい情けない声。
信頼できるが故に、頼りすぎているのかもしれない。
「いや、お互い様だろ」
そうやって苦笑する蒼。
「…。そうだな…」
信頼しているからこそできるお願い。
困った時は本当に助かってるよ。