「本当に助かる」
一昨日の夜から怪しかった喘息だが、陽は絶対に病院には行かないと拒んで聞かなかった。
眠ることに恐怖心を覚えた陽の続く寝不足や、それが原因で起こる小さな喘息の予兆。
訳を知った蒼から季蛍さんに伝わると、診てくれると快く引き受けてくれた。
母になってまで拒むものかと思われるが、陽の「嫌」が単なるワガママではないことは知っている。
強制的に連れていったところで、夜目を開けている時間が延びるだけ。
陽の気持ちに寄り添いつつ、油断は許されない喘息も忘れない。
「季蛍さんも疲れてると思うのに」
陽は1人で当直明けの季蛍さんの元へ。
診察が終われば、2人でうちへ来る約束になっている。
元々休日だった蒼は先に部屋へ上がってもらった。
「どうせ帰ってきても何も食べたくないって言うだけ。こうした機会があるとこっちも助かる」
「はは…、季蛍さん少し痩せたよね」
「陽さんとなら無理にでも食べるかもしれないな」
「そうだといいけど」