襟元のボタンを三つほど開けると、港くんの手がそっと伸びてくる。
「楽にしてくれてていいよ」
港くんと目が合うと、余計に心臓がバクバクしてしまった。
あと二つ追加してボタンが開けられると、港くんが手で暖めてくれた聴診器が、襟元からそっと入れられた。
よりによって港くんだと…誰の時よりも緊張するのに。
蒼も蒼でそれくらい想像つくはずなのに、何も言ってこないところが意地悪だ。
…喘息が関わると常に鬼なんだから。
そんなことを思っているうちに、聴診器が抜かれた。
「季蛍さん…今日も我慢したの?」
“発作…”
と付け加えられて、苦笑いしか浮かばない。
「…薬局のお薬じゃやっぱり無理でした」