部屋に戻ると床は綺麗になっていて、結はベッドの上で寝息を立てていた。



「朝の様子で決めよう」


「…うん、そうだね」






結に向けていた視線を上げると、港と目が合って思わず目を伏せた。



「陽、その汗何?」


「…え?」


「普通じゃないだろ」


「……」




汚れた衣服を手に部屋を出て行く港の後を追い、部屋の扉をそっと閉める。



「いや、ちょっとびっくりして…」


"結が吐いてしまったことに"


という意味で言ったが、港は怪しむような目を向ける。





「ごめん…」


再度締め付けられるような感覚を覚え、心臓の鼓動が少しずつ早くなっていく。


「責めてる訳じゃなくてさ…」


ため息混じりに言葉を漏らした港は、顎を持ち上げて強引に視線を合わせた。


「ちょっと様子おかしいから」


「…大丈夫」






手を払い除け、寝室の中へ。



「ゆい、また起きちゃうかな?」


「どうだろうな、…あと2時間」






もう外もぼんやりと明るい。





「まさか起きてるつもり?」


体を壁に預けると、港の鋭い視線が向けられる。


「…別にいいでしょ」




また締め付けられるような思いをするくらいなら、起きていた方がずっと楽だ。