「ハッ……」
魘されていた夢から覚めると、ぼんやりとした暗闇の中。
息が切れていて冷や汗が浮かび、苦しさに体を起こした。
とても怖い夢だった。
夢の中で胸を締め付けられるような思いをした。
冷たい手にぎゅっと掴まれる、体に残った嫌な感覚。
忘れていた小さなことも蘇り、手先が微かに震えた。
なかなか眠れなかった今夜、少し嫌な予感がしていたのは確かだった。
眠ると何かが起こるような気がして、いつもより寝つきが悪かった。
いつの間にか眠っていたが、こんな形で目を覚ますだなんて…。
妙な胸のざわつきに、音を立てないように寝室をそっと出た。