帰宅して中に入ると、ちょうど部屋から陽が出てきたところだった。
「あ、おかえり」
「ただいま」
「残念。今寝たばっかり」
「そうか。薬は飲んだ?」
「なんとか…、熱が引いてホッとした」
「そうだな」
音を立てないように部屋の扉を開け、眠る結の寝顔を覗いた。
口角を上げてスヤスヤ眠る様子を見て、陽と同様にホッとした。
そっと扉を閉めてリビングに戻ると、陽が夕食の準備をしてくれた。
「はい」
「ありがと。いただきます」
食器の数はどれもひとつずつ。
「陽は食べたのか」
ただ疑問に思って聞いたのだが、陽の動揺した表情に思わず苦笑。
相変わらず顔に出やすいな。
「箸持ってきて?陽も食べようよ」
「…私は食べたからいい」
「本当に?」
「…本当に」
「顔に出てる」
「……」