名前を呼ばれて中に入ると、どこか見覚えのある先生が座っていた。
「こんにちは」
「…こんにちは」
「ぐったりだね」
結を見るなり、先生はそう呟く。
椅子に腰を下ろすと、腕の中で結が小さく唸る。
「元気がなくて…、水分も取れないんです」
「そうか、つらいなぁ」
結に話しかけるような柔らかい声。
「先に胸の音聞きますね」
そうやって優しく笑った先生が、結の服を持ち上げた。
「よーし、泣くなよ〜」
優しそうな顔つきは、結の胸に聴診器を当てた瞬間真剣な目に変わる。
「胸の音は元気だなぁ」
数箇所胸に当て終わると、今度は背中に当てていく。
先生の言葉に、ちょっとホッとした。
「意識がないかな?」
「声掛けても…、あんまり反応なくて…」
意識の確認のために結の頬を優しく叩く先生が、眉を寄せて険しい顔をした。
何かあったのかと不安になると、腕の中の結の体が急に硬直して背中を反らせ、手足がカタカタ震え出す。
顔色もどんどん青ざめて、結の視線が斜め上を見たまま止まってしまう。
「え…ッ、ゆい…ッ!?」
徐々に震えが大きくなっていく様子に、頭が真っ白になった。
「ベッドに下ろせますか?」
ガタガタ痙攣する様子を見て、パニックになりかける。
「お母さん」
先生に呼ばれて我に返り、診察室のベッドに結の体を下ろした。


