それから病室に入ると、涼先生は小春ちゃんのベッドの隣に座っていた。
こうなること、わかってるんだよな…。
「涼先生、小春ちゃんがお話あるって」
「小春が?」
「…だよね?」
聞くと、白衣に顔をグリグリ押し付けながら頷いてくれた。
「何?小春」
「……」
「顔が見えないよ」
「………ぃ」
"ごめんなさい"
一応言えたのだけど、ほとんど聞き取れない。
しがみつく小春ちゃんをベッドのフチに下ろすと、涼先生は目の前まで椅子を寄せた。
「…ごめんなさい」
俯き加減で絞り出した声を聞いて、涼先生も優しく笑う。
「いいよ。先生も言い過ぎてごめんな」
髪をワシャワシャ撫でられると、にっこり笑顔が見えた。
小春ちゃんは涼先生が大好きだね。