「戻ろうか」
抱えたまま向かう先は、小春ちゃんの病室。
「だ、だめ…ッ」
「みんな探してるかもしれないよ?」
「だめ…、あっち!」
腕の中から身を乗り出して指をさす先は、病室とは反対方向。
「先生も一緒にいるから。病室行こうよ」
「…本当に?」
「うん」
コクンと頷いたのを確認して、病室へ歩いていく。
「あっ!小春、どこに行ってたの?」
病室の中に入ると、涼先生が桃ちゃんの診察中だった。
…やっぱりな。
怖い顔をする涼先生を見た小春ちゃんは、俺の白衣に両手でしがみついた。
「ゃ…ッ」
顔を埋めて拒否体制。
涼先生も苦笑いだよ…。


