その日の夕方、少なめだった患者さんの診察が終わると、診察室から待合室を覗き込んでみた。



まだ季蛍さんの姿はない。




実は蒼も患者さんの様態から手が離せなくなり、本当に季蛍さんを引き受けることになってしまった。



…いやぁ、本当に俺で大丈夫なのか?



だからと言って高島が帰ってくるまで薬なしで発作に耐えろ、とも言えない。



身近に喘息持ちの陽がいるからこそ、季蛍さんのことは放っておけなかったりする。



季蛍さんは俺で不満そうだけど…。