「翔、お疲れさま」
「奏太先生!」
「良かったな、何も問題なくて」
現れた紫斑はアレルギーによるもので、退院する頃にはほぼ消えていた。
「先生ありがとう」
「いいえ」
「また会えるよね?」
「うん、会えるよ…って、通院は終わんないぞ」
「え?」
「今までずっと来てたでしょうが」
「あ、点滴かぁ」
喘息の通院を思い出した翔は、
『そうだった』
と笑った。
「次の通院日は守ってよ」
「わかったよ、先生」
「薬を飲むのもやめちゃだめだぞ?」
「はい!」
溢れる笑顔に元気な返事。
「ありがとうございました」
頭を下げる母親に会釈を返し、翔を見送った。