その日の夜、軽食を食べていたところに一本の連絡が入った。
「はい」
「…すみません」
電話越しに、泣き声が聞こえる。
「呼吸乱して泣き叫んで、涼先生涼先生 と」
「小春ね?」
「はい」
「号泣して吐かないように気をつけといて」
「わかりました」
隣で聞いていた奏太先生も苦笑。
「眠れないか?」
「そうみたいだよ。俺はお呼ばれ」
「はは、大好きだな」
「でも、これくらいしか好きじゃないって言われたよ」
小春がさっき示した、アリよりも小さい『好き』
それを見て、奏太先生もクスクス笑う。
「寝かしつけてくる」
突然の個室はハードルが高かったか。