途中で声を掛けた看護師と病室へ行くと、桃が走って小春のベッドへ行った。
「こはるちゃん、だいじょうぶ?」
桃の小さな問いかけに小春は笑って頷いた。
「桃ちゃんは自分のベッドに戻ってよっか」
看護師が桃の背中を押して戻らせ、ビニールの掛かった洗面器を小春の口元へ。
吐物はさっきと違って、体内から出されたものだ。
「…ッおぇ」
無理して笑顔を作っているが、苦しそうに吐き出してしまう。
「もも…ちゃん」
『大丈夫』だと伝えたいのか、桃のベッドの方へ顔を向けて唇をぎゅっと噛み締める。
「小春、顔こっち」
顔の向きを変えて背中をさすってやると、咳き込みながら右手で洗面器を握る。
「…ッん゛…ッおぇ」
詰まっているのか、上手く吐き出せないようだ。
「ッりょ…、せんせ…」
耐えているが、目には涙も溜まっている。
瞬きをすればこぼれ落ちそうだ。
「苦しいな…」


