「俺でよければ」



"それも嫌"と返されるかと思いながら言ってみたけれど、季蛍さんは固まってしまった。



「お?港ならいいのか?」



蒼がそう聞くと、季蛍さんは首を少し左右に振った。



「港くん…だって…忙しいし…そんな、いいです」



正直に嫌だと言わないところが季蛍さんらしい。



「蒼が忙しければおいでよ。薬だけ出すならひょひょいと出せるし」



「で…でもそんな…港くんは…」




「季蛍さんのこと、よーくわかってる蒼の方がいいか」



そう言って笑うと、季蛍さんは何だか曖昧な表情を浮かべた。