口にいっぱい詰め込んでモグモグと口を動かしていたが、突然噛むのをやめてしまった。
嫌な予感は的中し、口の中のものをすべてお皿に出してしまう。
…やっぱり飲み込んでないよな。
「お腹いっぱいなら無理しなくてもいいんだぞ?」
「いっぱいじゃないよ」
濡れたタオルで手を拭いて、口元も拭ってやる。
「小春、無理してるの?」
「してないよ!」
朝から元気もあって顔色も悪くないので、心配はいらないように見える。
「間違えて出しちゃった?」
「……」
「…ん?」
様子を見ていた看護師がお盆を受け取り、下げてくれた。
「小春、先生の声聞こえる?」
「…きこえる」
「怒ってないんだよ」
「…だって先生げぇしたら来るもん」
「うん……、?」
どういうことかと一瞬悩み、小春の拗ねた表情を見て理解した。
…そういうことか。
「そうか。そうだよな」
俺を呼ぶために出していたのね。
吐いたら俺が様子を見に来るから。


