「せんせい、抱っこ」 昨日から入院になった桃の診察をしていたら、小春が腕を引っ張った。 共同の病室で桃と小春は一緒の部屋だ。 「あとでね」 「小春がさき!」 「今は無理だよ。小春はご飯食べなさい」 「せんせいも来て?」 「後で行くから。あっちで待ってて?」 背中を軽く押してやると、諦めて自分のベッドへ戻って行った。 「えらいね小春」 声を掛けてやったけど、小春はムスッと顔をして食事を再開させた。