笑顔を浮かべる子どもたちの姿を眺めていたら、肩を叩かれた。
涼先生の方を向くと、顎をクイッと向こうに向けている。
「…ん?」
涼先生が教えてくれた先には、看護師と手を繋いで泣いている翔の姿があった。
…何かあった?
近寄っていくと、看護師が翔の肩を叩く。
「ほら、奏太先生」
だけど翔はパッと俯き、目線を合わせてくれない。
「…何かありました?」
「見ていた感じでは何も…
聞いたら『出たい』と、それしか…」
「…出たい?」
「私もちょっとわからなくて…、多分部屋を出たいのかなと思ったんですけど」
声を押し殺して泣く翔の腕を掴むと、看護師と繋いでいた手を離した。
「わかりました、ありがとうございます」
「翔くん、また来てね」
優しく声を掛ける看護師にも無反応だ。
とりあえずこの部屋を出ようとするが、翔はその場に立ったまま動こうとしない。
「気分悪い?」
強引に顔を覗いて聞くが、翔は首を左右に振り、そして扉へ進んでいった。
「ちょっと、翔?」
様子がおかしいので止めようとしたが、そのまま歩いていく。
「ちょっ…」
急に力が抜けたと思えば、膝から崩れ落ちていった。
体を受け止めて抱え上げ、すぐに部屋を出る。
「おい、大丈夫?」
「あぁ、平気」
わざわざ部屋を出て来てくれた涼先生に返事を返し、近くの処置室へ運んだ。


