温かい毛布に包まれて、思わず頬が緩む。
病院のベッドとは異なる、安心する温もり。
隣に人がいることで、こんなにも違うんだ。
「…ね、蒼?」
「…何?」
「そっちに行ってもいい?」
「…いいよ」
"人がいるから"と言うより、
"蒼がいるから"なのかもしれない。
「眠れないのか?」
「ううん、そんなことない」
眠れない訳じゃない。
ただのワガママ。
「…おやすみ」
小さく呟く声の後、背中に手が回された。
知っている温もりに、ちょっぴり泣きそうになる。
「…あったかい」
思わず漏れた言葉。
数分そのまま温もりを感じていれば、フッと意識を飛ばした。