病室に戻ると、中に人影があった。
入る部屋を間違えたのかと一瞬戸惑ってしまったが、すぐに蒼だと気がついた。
「散歩?」
「外に出てもいいって言ってもらえたの」
「よかったな」
「外の空気久しぶりに吸ったんだよ」
「…はは、嬉しそうだな」
何気ないそんな出来事も、興奮しながら話してしまう。
他人から見れば『そんなこと』かもしれない。
「蒼先生、面会ですよね?」
「一応な。このあと仕事」
ベッドにゆっくり腰を下ろし、点滴を元に戻してもらう。
「今日は1人ですか?」
「仕事がなかったら夏来も連れてきたけどね」
「あぁ、そうでした。でも2日後には退院ですよね」
「そうだね、すぐだよ」
高島先生と蒼のそんな会話を聞き、恋しくなる家。
「蒼先生は後で…いいですか?」
「ん、わかった」
「僕は一度失礼します」
高島先生が部屋を出て行き、病室に2人きり。
数日前と同じだけれど、気持ちは少し違う。
退院の決まった今は、少し気持ちが楽だ。


