「そろそろ戻ろうか」
背中を叩かれ、ハッと我に返る。
"あと5分だけ"
そんなワガママもお願いすれば叶いそうな気もするが、今日は大人しく病室に戻ろう。
高島先生の後を追い、来た道をまた歩いていく。
「冷えた?」
「大丈夫です」
「…息抜きになった?」
「はい、もっといたいくらい」
「そうか、よかった」
入院患者がたまに病室を抜け出して、中庭にポツリといることもよくあった。
体調面を考えれば、勝手な行動は避けてほしいと思う。
けれど、こうなった今はそんな気持ちもよくわかる。
患者さんの体を優先的に考えることを前提に、少し息抜きをしてもらうことは大切だと改めて認識した。


