「あ」
陸くんが気がついたように、私もすぐに気がついた。
扉の隙間から様子を伺う高島先生の姿に。
「お盆戻ってないから」
「もう少し頑張るそうですよ」
「本当?すごいじゃん」
病室の中に入ってきた高島先生は、点滴を確認してから椅子に腰を掛けた。
「で、何か進んだ?」
目を伏せたら、笑われる。
「無理しなくてもいいけどな」
「…食べなかったら入院伸びますか?」
「あぁ、それが気になってたの?」
「…はい」
「大丈夫だよ、一応2日後の退院は決定」
それを聞いて全身の力が抜けたような気がした。
迷わず箸を置き、お盆を端に寄せた。
「下げますね」
「…ありがと」
陸くんはお盆を持って病室を後にした。
「今日はどう?」
「…昨日よりは」
「辛くない?」
「…はい」
「そっか。…ちょっと外出てみる?」
「…え?」
「トイレの往復じゃつまらないだろ?」
「…いいんですか?」
「少しは歩かないと、退院の日帰れないよ」
そうやって笑う高島先生が、腕時計を確認した。
「…どう?」
「行きたい、です」


